バージニア州のGlenn Youngkin知事は2026年4月14日、州政府が保有する未請求の仮想通貨を受領後1年間は現物のまま保管することを義務付けるHB798(ハウスビル798)に署名しました。同法は2026年7月1日に施行され、仮想通貨を一般の未請求資産と区別して扱う米国初の州法レベルの立法として注目されています。
HB798はバージニア州議会を通過し、2026年4月14日にGlenn Youngkin知事が署名しました。施行日は2026年7月1日で、対象はバージニア州内で未請求となったすべての仮想通貨資産です。
法律の核心は「受領後1年間は現物のまま保管する」という義務にあります。州政府が市民の仮想通貨を受け取った場合、少なくとも1年間はそれをBitcoinやEtherなど受け取った形のまま保持しなければなりません。
これまでのバージニア州法では、未請求資産は原則としてフィアット(米ドル)に換金して保管する扱いでした。仮想通貨もこの枠組みに含まれており、州が換金した時点以降の価格上昇分は受取人には還元されない構造になっていました。
バージニア州議会公式記録によれば、HB798はこの不公平を立法によって解消するものです。仮想通貨を「換金可能な一般資産」ではなく「固有の性質を持つデジタル資産」として法的に位置付けた点が、本法律の最大の特徴といえます。
仮想通貨市場では価格の長期的な上昇局面が繰り返されてきたため、州政府が換金タイミングを決定するという従来の仕組みは、受取人にとって不利益をもたらすリスクを内包していました。たとえば、受取人が資産を取り戻す権利を行使した時点で、すでに州が換金した後であれば、その間の価格上昇分は永遠に失われます。
この問題は米国各州で仮想通貨保有者から繰り返し指摘されてきたものの、立法による解決に踏み切った州はこれまでありませんでした。HB798はその空白を埋める最初の事例となります。
法律の成立時点における市場の直接的な価格反応は確認されていませんが、立法の影響範囲はバージニア州内に限られるため、マクロ市場への短期的な影響は限定的とみられます。一方、仮想通貨を保有するバージニア州民にとっては、資産保護の観点から実質的な恩恵が生じる可能性があります。
HB798は2026年7月1日の施行後、実運用段階に入ります。州政府機関は未請求仮想通貨の現物保管体制を整備する必要があり、セキュリティや管理コストの面で新たな課題が生じる可能性があります。
より注目されるのは、他州への立法波及です。米国では州ごとに未請求財産法(Unclaimed Property Law)が整備されており、バージニア州の事例は他州の議会や規制当局の検討材料になるとみられます。
仮想通貨を保有するバージニア州民にとっての実務上のポイントは、未請求状態を放置しないことです。1年間の現物保管義務が課されても、その後の処理方針は現時点では明示されていないため、資産の所在を定期的に確認する習慣が引き続き重要になります。
7月の施行後、州政府が実際にどのような保管体制を構築するかが最初の検証ポイントになります。


