イーロン・マスク氏が米カリフォルニア州オークランドの陪審員に対し、「ほとんどの暗号資産は詐欺だ」と証言した。OpenAIとの民事訴訟での発言であり、これまで業界の最大の擁護者の一人であった同氏の立場から大きく転換した形となった。
テスラおよびスペースXのマスクCEOは、2018年にOpenAIがICO(新規暗号資産公開)による資金調達を計画していた件について聞かれ、上記の発言を行った。ニューヨーク・タイムズの記者マイク・アイザック氏が報じた。
マスク氏は2020~2021年、ツイートと企業の買い入れで市場変動を起こしてきた。2021年にはテスラ社がビットコイン(BTC)を15億ドル分取得。大手上場企業としては早期にバランスシートへ暗号資産を計上した事例である。
同氏のドージコイン(DOGE)に関する投稿は、その年にミームコインを何度も過去最高値へ押し上げた。マスク氏はビットコインやイーサリアム(ETH)、ドージコインの個人保有も過去のインタビューで認めている。
しかしその姿勢に変化が訪れたのは2022年。テスラがビットコイン準備金の約75%を売却した。現在も保有水準は維持し、2026年第1四半期時点で1万1509BTC(8億7900万ドル相当)を保有、2億2200万ドルの減損を計上した。
この発言と時を同じくして、マスク氏主導のSNSプラットフォームXでも新たな動きがあった。Xのプロダクト責任者ニキータ・ビア氏は、キャスタグ(Cashtags)のウェブ版をローンチしたと説明する。株式や暗号資産の$ティッカーをクリック可能なリアルタイムチャートや資産毎の投稿フィードに変換する機能である。
ビア氏は「Xを主要な取引ターミナルとして位置付ける狙い」と述べた。初投稿アカウントのロックやコントラクトアドレスの自動照合制御などを導入し、不正トークンがユーザーまで届く前に排除する取り組みとなる。
キャスタグは決済・取引の実証機能も含む金融機能強化路線の一環である。マスク氏が資産の「本質的価値」と「詐欺」を区別した発言は、キャスタグの方向性とも重なる。健全な情報は浮かび上がらせ、不正は制御する趣旨である。
詐欺発言が出たのは、OpenAIが2018年に検討したトークン発行計画が裁判資料として提出されたため。
マスク氏は2015年のOpenAI共同創設者。OpenAIがマイクロソフトと提携し商業製品を販売したことが創業合意違反に当たると主張する。
この発言はICO計画に関する尋問の中でのもので、アイザック氏により明らかにされた。
OpenAI側は「ICO計画はマスク氏の支持を得ていた」「営利子会社の設立も想定されていた」と反論する。陪審員審理は3週間ほど続く見通し。


