マイクロン・テクノロジー株は5月26日に過去最高値を記録。1日で一時23%近く急騰し、終値も19%超高の895.88ドルとなった。この上昇により、同社の時価総額は一時1兆ドルを突破。世界有数の大型テック企業の仲間入りという節目を迎えた。
時間外取引でも上昇基調が続き、株価は920ドル付近まで拡大した。
この急騰の背景には2つの主要要因がある。AIメモリ需要の拡大とUBSによる強気な目標株価引き上げである。MU株は歴史的な高値圏で推移している。投資家の焦点は、この上昇が構造的な再評価の入り口なのか、短期的な勢いによる一時的高騰なのか、という点にある。
マイクロン株の上昇は、AIインフラ拡大を背景とした半導体セクター全体の変化を反映している。
AIモデルの学習や推論には、特に高性能DRAMや高帯域幅メモリなど大量の高性能メモリが不可欠。
業界全体の供給制約により、大手メモリメーカーの価格決定力が強まっている。マイクロンは先端メモリを大量供給できる世界でも数少ない企業として、このサイクルの中心に位置する。
同社は最近、米バージニア州マナッサスに20億ドルを投じた新工場で1α(アルファ)DRAMの量産を開始した。この施設は米国国内のメモリ供給を強化し、航空宇宙・防衛や自動車、産業システム、医療分野などの重要産業を支える。
経営陣は本プロジェクトを、米国半導体製造能力強化に向けた2,000億ドル規模の長期投資戦略の一環として位置づけている。
サンジャイ・メロトラ会長兼CEOは、同施設を米国内における先端メモリ生産確保の戦略的節目と評価し、長寿命のエンタープライズ顧客への対応強化も狙いとした。
UBSがマイクロンの目標株価を535ドルから1,625ドルへと大幅に引き上げたことも投資家の熱狂を後押しした。これは今年の半導体関連アナリスト予想でも突出した強気観測となる。
新たな目標株価は足元水準から約80%の上昇余地を示す。UBSのティモシー・アーカリ氏は、AI起因のメモリ不足が2028年第2四半期まで続くと見通す。供給逼迫の長期化でマイクロンの価格決定力が高まり、従来不安定だった収益基盤も安定化する可能性がある。
UBSはまた、現在の市況が続けば2027~2029年にマイクロンが年間1株当たり100ドル超の利益を上げる可能性も指摘。長期的な企業価値評価にも影響を及ぼす可能性がある。
今回の目標株価引き上げは半導体セクター全体にも波及。メモリメーカーがGPUメーカーと並んでAIインフラ投資の主要受益者になりつつあるとの見方が強まった。
マイクロンの直近決算にも構造変化の影響が現れている。2月26日までの四半期は売上高が240億ドルに到達し、前年同期比で約3倍に拡大。調整後純利益は140億ドルと、約8倍に急増。価格改善とAI需要増大が寄与した。
株価動向もこうした勢いを反映。年初来で200%以上上昇し、過去12カ月では800%超の上昇を記録。S&P500の伸びを大きく上回る。
ただし、この急騰は持続性に疑問も投げかける。現在の市場は供給不足継続や安定的な利益幅、強固なAI需要を織り込む。これらが緩和すれば、株価の変動要因となりうる。
急伸後のMU株は短期的な持ち合い局面に入る可能性がある。パラボリックな上昇の後は一時的に調整を挟むことが多い。直近のブレイクアウト水準870~890ドルを維持できれば、全体の強気構造が維持される。
ただし、上昇が続くと、モメンタム指標の過熱感から利益確定売りも入りやすい。下げ局面で取引高が高水準を維持できるか注視される。出来高が維持されれば、機関投資家の関与継続と見られる。
半導体ETFの堅調さはセクター全体のモメンタム維持を示す。個別株のみの失速に終わりにくい環境。
