主張:国連(UN)がフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領に対して逮捕状を発行した。
ファクトチェックの理由:5月25日にYouTubeチャンネル「NEWS UPDATE FILES」が投稿した動画のタイトルは「Marcos Jr., kinarma na! United Nations, nagdesisyon na! U.N president, nilabas ang arrest warrant ni BBM.」であった。
(マルコス・ジュニアに天罰が下った!国連が決定した!国連総長がBBM(ボンボン・マルコス)の逮捕状を公表した。)
サムネイルには、国連事務総長アントニオ・グテーレスがマルコスの写真入りの逮捕状と思われる書類を指差している様子が映されている。画像に重ねて表示されたテキストには、「U.N president, nilabas ang arrest warrant!」(国連総長が逮捕状を公表した!)および「Wala na! Finish na! United Nations, a-arestohin na si BBM!」(終わった!もう終わりだ!国連がBBMを逮捕する!)と記されている。
執筆時点で、この動画は49,172回以上の視聴数と5,500件のいいねを獲得している。
事実:国連はマルコスに対して逮捕状を発行していない。国連は司法機関ではなく、逮捕状の発行や国家元首の訴追を行う権限を持たない。
この主張は、YouTubeチャンネル「The General's Viewpoint」の動画内で紹介された政治的コメンタリーに端を発しているとみられる。同動画では、日本の非政府組織「国際キャリア支援協会(ICSA)」の藤木俊一氏が国連人権理事会に提出した声明が取り上げられていた。
同グループは、人道に対する罪でロドリゴ・ドゥテルテ前大統領を国際刑事裁判所(ICC)に移送したことは政治的動機によるものであり、2028年選挙を前にドゥテルテ陣営を弱体化させることを目的としていると主張した。
しかし、フィリピン外務省(DFA)はこのグループの提出を退け、理事会がこの声明に対して何ら行動を取らないと期待していると述べた。
「国連はこのような声明を日常的に受け取り、コメントや他の措置なしに手続き上の問題として回覧している」とDFAは述べた。
さらに、「声明自体については、人権理事会(HRC)や国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がいかなる措置も取らないと予想している。国際キャリア支援協会(ICSA)が根拠のない主張を国連に持ち込むのは今回が初めてではない。これまでの活動はいずれも実を結んでいない」と付け加えた。
藤木氏の信頼性については、人権活動家で元ジャーナリストのカルロス・コンデ氏が疑問を呈しており、藤木氏は人権研究者ではなく、戦時中の残虐行為を否定してきた経歴があると述べている。
マルコスへの逮捕状なし:人道に対する罪に関する逮捕状は、国連とは独立して運営されるオランダ・ハーグに拠点を置く独立した裁判所であるICCが発行する。
ICCはフィリピンの麻薬戦争に関連した逮捕状を発行しているが、対象はドゥテルテ氏とロナルド「バト」デラ・ロサ上院議員であり、マルコス氏ではない。
2025年3月に逮捕されたドゥテルテ氏は、ICCがすべての刑事訴追を確認した後、裁判を受けることになっている。
ドゥテルテ氏の逮捕から1年以上が経過した後、ICCはドゥテルテ氏の麻薬戦争中に警察長官を務めたデラ・ロサ氏の逮捕状を公式に公開した。
デラ・ロサ氏は5月14日に上院から逃走した後、逮捕状を回避しており、当局が現在同氏の行方を追っている。(記事:マルコス政権、バト・デラ・ロサの逮捕に前向きに。今後の展開は?)– Cyril Bocar/Rappler.com
エフレン・シリル・ボカルは、東サマルのロレンテ出身のジャーナリストで、ビサヤス州立大学にて英語言語学の学位を取得した。シリルは2024年のRapplerにおけるアリエス・ルフォ・ジャーナリズム・フェローシップの修了生でもある。
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