スイ(SUI)共同創業者のアデニイ・アビオドゥン氏は、レンジ証明を用いて送金額を秘匿しつつ、供給の検証は完全にプロトコルで行う「コンフィデンシャル・トランスファー(秘匿送金)」をネットワーク上で実装予定と発表した。
この発表は、スイがプライバシーインフラやエージェント向け決済ツールの強化を進める中、6月5日にスレッド上で明らかにされた。
スイのコンフィデンシャル・トランスファーは、困難な課題を2つに分割して処理する。レンジ証明で、実際の金額を開示せず、転送額が有効であることだけを確認できる。取引当事者以外は金額を知ることができない。
供給量の検証は異なる仕組みで作動する。新たなトークンが突然現れないかどうかを、プライバシー証明ではなくプロトコル自体が確認する。
この分離が設計上の重要な判断となる。同じ証明でプライバシーと供給の検証を同時に担うと、攻撃者に付け入る隙を与える規模が大きくなる。
オーチャードシステムにおけるZcashの偽造バグは、この設計が失敗した場合の影響を示した。無断でミント(新規発行)されても検知できなかった。スイの方式では、供給チェックをプロトコル層で実施し、悪用されにくくしている。
コンフィデンシャル・トランスファーは、チームが現在進行形で注力する大型方針の一部である。ネットワークではすでに無料階層の決済を導入し、AIエージェントが自律的にオンチェーン取引できるネイティブなペイメントインテントも開発中。Suiの分散ストレージ「Walrus」は、そのエージェントの記憶層への活用を見据える。
アデニイ氏はスレッド内で、現状の市場環境におけるチームの姿勢を明確に説明した。
この発表は、運用面で厳しい時期を経て出された。ネットワークはアップグレードの不具合による3回のメインネット障害から回復し、以前もSuiネットワークの停止でトークン価格が急落した経緯がある。予定通りコンフィデンシャル・トランスファーを導入できれば、インフラ重視の姿勢が製品開発へと着実につながっていることを示せる。


