Sui(SUI)は6月8日、「コンフィデンシャル・トランスファー(秘密送金)」機能の一般公開テストを開始した。オンチェーン上でトークン残高や送金額を秘匿する一方、送信者・受信者・監査者のアクセス権は保持される。
この設計はモネロ(XMR)などのプライバシーコインとは大きく異なる。Suiは金額のみを秘匿し、暗号資産取引所や分析企業、規制当局が必要とする管理機能を維持する。完全な匿名性ではなく、主に機関投資家向けを意識している。
コンフィデンシャル・トランスファーでは、トークン発行者がプライベートモードを有効化でき、残高や送金額はSuiブロックチェーンネットワーク上で暗号化されたまま記録される。送信者・受信者アドレス、トークン種別、取引時間は公開される。
暗号化にはRistretto255上でTwisted ElGamal暗号を使用し、ゼロ知識証明と組み合わせている。
この証明により、送金額を公開せずに取引の正当性を検証できる。これによりプロトコルレベルで過剰送金や不正な新規発行が防止される。
Mysten LabsはオープンソースコードをGitHubで公開済み。ただし現時点で監査は未実施で、開発中の扱いとなっている。同リリースは共同創業者が以前公開したプレビューを基礎としている。
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モネロは取引の3層すべてを隠す。リング署名で送信者を隠し、ステルスアドレスで受信者を秘匿し、リング・コンフィデンシャル・トランザクションで金額も不明にする。第三者がデータを復号することはできない。
この徹底した秘匿性には代償もあった。複数の暗号資産取引所がコンプライアンス懸念からモネロを取扱停止し、プライバシーコインの上場廃止やローテーション取引が相次ぐ状況となった。
Suiは全く逆の道を取る。発行者は監査用の鍵を設定し、必要時に残高を復号できる権限や、フリーズ・押収などの権能を保持できる。
また、ユーザーは秘密鍵を公開せずに残高や送金額の証明を提示できる。
この方式は、決済事業者・ステーブルコイン発行体・財務部門など、取引情報の公開ができない主体を主な対象とする。残高は経営戦略を、送金規模は取引関係を晒す可能性があるためだ。
Bridgeは同機能をステーブルコインや決済プラットフォームとして模索中。TRM LabsとMerkle Scienceは、秘密モデル内でリスク評価・モニタリング・調査がどこまで可能かを検証する。
一方、Suiは5月下旬にメインネットで3度の障害を経験するなど、運用面で試練も抱えている。
コンフィデンシャル・トランスファーで機関投資家を引き込めるかは、今後パートナーや規制当局がこの「管理されたプライバシー」モデルをどう評価するかにかかる。
コンフィデンシャル・トランスファー発表後、SUIトークン価格は約5%上昇し、本稿執筆時点で0.76ドル付近で推移。アルトコイン全体の上昇傾向と概ね連動している。


