オンチェーンデータ分析企業グラスノード(Glassnode)のデータによると、暗号資産(仮想通貨)取引所が保有するイーサリアム(ETH)の割合が12月7日時点で8.8%に低下し、2015年のデータ追跡開始以来の史上最低水準を記録した。
取引所のETH保有割合 出典:glassnode公式サイト
取引所保有量は2020年8月のピーク時から約75%減少した。取引所に保管されるETHが減少することは、市場での即時売却可能な流通供給が縮小していることを意味し、需要増加時に価格上昇圧力が強まりやすい環境を示している。
取引所残高の減少は、市場での流動性供給の減少を意味する。投資家が取引所からETHを引き出すことで、売却されるETHの絶対量が減少し、需要が供給を上回りやすい状態が生まれる。この供給逼迫は価格上昇圧力につながる可能性が高い。
取引所保有量減少の背景には、イーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)移行後のステーキング需要拡大に加え、セルフカストディ(自己保管)への移行やDeFi・レイヤー2ネットワークでの利用拡大がある。現在、ETH総供給量の43%以上がステーキングやリステーキングプロトコルにロックされており、さらにアービトラムやオプティミズムなどのレイヤー2ネットワークや分散型金融(DeFi)プロトコルでも活用されている。
マクロリサーチメディアのミルクロードは「ETHはかつてないほど厳しい供給環境に入っている」と指摘し、ビットコインの取引所保有量が14.7%であることと比較してもETHの供給逼迫が際立っていると分析した。アナリストらは、現在の供給構造が価格上昇の潜在的な前兆となる可能性を示唆している。
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