ノルウェー中央銀行は、国内の決済システムが安全かつ効率的に機能していることを理由に、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入計画を一時停止することを明らかにした。
ノルウェー中央銀行は、デジタルクローネについて現時点では導入の必要性がないとの判断を示し、CBDC計画を一時停止した。同中央銀行は、数年にわたりデジタル通貨の選択肢を検討してきたが、現在の決済インフラは消費者、金融機関、加盟店に対して十分な機能を果たしていると結論づけている。
ノルウェーでは決済の大半がすでに電子化されており、現金利用率は世界でも低い水準にある。小売取引と銀行間取引の双方において、迅速で信頼性の高い決済が行われていることから、新たに中央銀行が発行するデジタル通貨を導入する緊急性は低いと判断された。
また、緊急時に備えた決済システムの耐性も十分に確保されており、短期的にデジタル現金の代替手段を整備する必要はないと説明している。
同中央銀行は、BankAxeptやVippsといった既存の決済ネットワークが社会のニーズを満たしており、国家による追加的な介入がなくても安定した決済環境が維持されている点を強調した。
これらの仕組みは低コストでの運用と高い処理能力を両立しており、ノルウェーの決済環境がすでに成熟段階にあることを示している。
一方で、ノルウェー中央銀行はCBDC研究そのものを中止するわけではない。アイダ・ウォルデン・バチェ(Ida Wolden Bache)総裁は、CBDC導入について「今ではないが、決して選択肢から外れたわけではない」と述べ、決済環境の変化やデジタル決済がノルウェー通貨の長期的な役割に影響を及ぼす場合、あるいは国際基準が変化した場合には、適切なタイミングで対応できるよう準備を進めていると説明している。
同中央銀行は、トークン化を含むデジタル金融技術の研究や実証実験を継続し、決済リスクの低減や効率性向上の可能性を探る方針だ。
来年(2026年)第1四半期には、CBDCに関する包括的な報告書を公表する予定で、デジタルユーロをはじめとする欧州および世界の動向を注視していくとしており、ノルウェーは当面、安定した既存の決済システムを維持しつつ、将来の環境変化に応じてCBDCを導入する選択肢を残す姿勢を明確にした形だ。
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