米政治専門メディアPolitico(ポリティコ)は2025年12月22日、米連邦政府が2026年1月末にも再び一部閉鎖に追い込まれる可能性があると報じました。
1月30日に期限切れとなるつなぎ予算を巡る与野党協議が難航しており、上院民主党が予算案合意から離脱したことが背景とされています。
こうした予算協議の停滞が続く中、一部メディアは、議会日程への影響から、米国で審議中の仮想通貨市場構造法案「CLARITY法案」の議決が遅れる可能性があると伝えています。
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史上最長の政府閉鎖(43日間)は2025年11月中旬に終結しましたが、その際に成立した暫定予算は2026年1月30日までの時限措置に留まりました。
その後も共和党主導の歳出削減策と民主党の要求(医療保険補助金延長など)を巡る対立が解消されず、恒久予算の編成は停滞しています。
ポリティコによれば、上院民主党側は包括的な予算協議から一時撤退しており、政権政策を巡る対立もあって与野党間の合意形成が難航する状況となっています。
仮想通貨市場構造法案「CLARITY法案」は、SEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)の管轄範囲を明確化し、市場に法的な明確さをもたらすことを目的とした法案です。
2025年7月に下院を通過しましたが、上院ではマネーロンダリング対策やDeFi(分散型金融)、トランプ政権の仮想通貨事業に関する倫理規定など複数の論点で意見が対立し、審議は難航しています。
当初予定されていた審議入りは夏から秋へと再三延期され、さらに2025年秋の政府閉鎖が議論の停滞に拍車をかけました。
業界は法案成立を強く求めており、ロビー活動に多額の資金を投じてきました。法案が来年の中間選挙まで持ち越され成立が不透明になるとの見方も広がっています。
プロジェクト・リバティのシーラ・ウォーレンCEOは「業界は法案実現に莫大な資金を費やしたが成果は不確かだ」と指摘し、立法の遅れに警鐘を鳴らしました。
有識者らも、中間選挙が近づくにつれ成立が一段と難しくなると指摘しており、予算問題が長引けば成立時期が一層不透明になると懸念されています。
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一方で、ホワイトハウスのAI・仮想通貨政策を担当するデビッド・サックス氏は12月19日、上院の金融サービス委員会と農業委員会が2026年1月にCLARITY法案の委員会採決を行う予定だと明らかにしました。
サックス氏はティム・スコット上院議員(共和党)らへの謝意を示し「市場構造法案の成立にこれまでで最も近づいている」と述べています。
一方、民主党側の警戒も続いています。交渉役のコーリー・ブッカー上院議員(民主)は、規制当局への民主党人事起用に関するホワイトハウスの約束は「信用できない」と述べ、政権への不信感を示しました。
また、7月には米ドル連動型ステーブルコインの規制法「GENIUS法」が成立されていますが、仮想通貨市場全体を対象とする包括的な規制の行方は依然不透明です。
予算を巡る混乱が長引けば法案成立の遅れも避けられないものの、業界は早期成立への期待を寄せています。
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Source:Politico報道
サムネイル:AIによる生成画像


