2026年2月10日、X(旧Twitter)がプラットフォーム上での金融機能に関する具体的な方針を明らかにしました。同社は数週間以内に「Smart Cashtags」を導入し、さらに独自の決済システム「X Money」の公開テストを近日中に開始する予定です。
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Smart Cashtagsと外部提携による取引機能
Xが導入を予定している「Smart Cashtags」は、暗号資産や株式のティッカーシンボル(例:BTCやTSLA)を含む投稿に反応する機能です。ユーザーがタイムライン上で閲覧した際、リアルタイムの価格データや関連情報へ直接アクセスできるようになります。
なお、プロダクト責任者のNikita Bier氏によれば、Xは「金融データのツールとリンクを構築している」だけであり、自社で直接的な取引を仲介することは否定しています。これは、X自身が証券会社や暗号資産取引所として機能するのではなく、実際の売買は外部プラットフォームとの提携を通じて行われる仕組みを示唆しています。
X Moneyの進捗とxAI All Handsでの発表
並行して開発が進められているのが、決済プラットフォームである「X Money」です。2026年2月10日に開催されたxAIの「All Hands Meeting」において、イーロン・マスク氏はX Moneyがすでに社内のクローズドベータで稼働していると報告しました。今後1〜2ヶ月以内に限定的な外部ベータテストへ移行し、最終的には全世界のすべてのXユーザー向けに展開する計画です。
マスク氏はこの会議の中で、X Moneyを「すべての金銭取引の中枢」と位置づけました。これがプラットフォームにおけるゲームチェンジャーになると強調しています。メッセージング、コマース、金融サービスを一つのアプリに統合し、ユーザーが「Xアプリだけで生活できる」環境の構築を目指していると想定されます。米国ではすでに40以上の州で資金移動業のライセンスを取得しており、法的な基盤整備も進展しています。
考察:PayPalからの系譜と今後の展望
今回のX Money構想は、マスク氏の事業家としての原点とも言えるプロジェクトです。同氏は1999年にオンライン金融サービス「X.com」を立ち上げ、それが後のPayPalへと成長しました。当時の「金融のすべてを一つのプラットフォームで完結させる」というビジョンが、現在のXにおいて再燃している形です。
自社で直接証券および暗号資産の取引所機能を持たず、データ提供と外部リンクに特化する手法は、複雑な規制リスクを回避する現実的なアプローチです。外部プラットフォームとの提携による取引機能と、自社開発のX Moneyによる決済機能について、これらはどのように統合されるのでしょうか。また、マスク氏が描く長年の構想は実現するのでしょうか。今後の展開についても注視していきたいところです。



