米暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンは4日、銀行部門「クラーケン・ファイナンシャル」が米連邦準備制度(FRB)のマスターアカウントを取得したとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に明らかにした。暗号資産企業がFRBのコア決済システムにアクセスするのはこれが初めてとなる。
クラーケン・ファイナンシャルはワイオミング州が暗号資産企業向けに設けた特別目的預金機関(SPDI)チャーターを保有しており、これまでは他の金融機関への資金移動に仲介銀行を経由してきた。今回のマスターアカウント取得により、1日平均4兆ドル超(約630兆円)の銀行間送金を処理する主要決済インフラ「フェドワイヤー」への直接アクセスが実現する。
承認を管轄したのはカンザスシティ連邦準備銀行で、3月4日(米国時間)に正式発表される予定。クラーケンの共同CEOアルジュン・セティ氏は「デジタル資産市場への法定通貨の預け入れと引き出しの信頼性と効率性が向上する」と述べた。
なお、今回の承認は既存の銀行が享受する全サービスを付与するものではない。FRBへの準備預金への利子支払いや割引窓口の利用といった機能は含まれず、FRBが昨年末に提案した「スキニー・マスターアカウント(簡易型マスター口座)」の概念に沿った限定的なアクセスとなっている。
シンシア・ルミス上院議員は「デジタル資産の歴史における分水嶺的なマイルストーン」と評価した。トランプ大統領が「米国を暗号資産の世界的拠点にする」と宣言し、暗号資産業界に友好的な規制当局が相次ぎ登用されるなか、今回の承認はその流れに沿うものだ。
一方、バンク・ポリシー・インスティテュート(BPI)などの銀行業界団体は、暗号資産企業へのFRB決済網アクセスが米国の金融安定性を損なうと警告しており、業界間の対立は続いている。
2011年設立のクラーケンは現在、暗号資産取引所のほか決済や機関投資家向けデジタル資産取引など幅広い事業を展開する。2025年11月には企業価値200億ドル(約3兆1,540億円)での資金調達とIPO計画申請を済ませており、今回のFRBへの参入はIPOを控えた機関投資家向けの信頼醸成にも寄与すると見られる。
関連:クラーケン、米SECにIPO申請──200億ドル評価での8億ドル調達直後


