パラグアイの国営電力会社ANDEは4日、暗号資産インフラ企業Morphware(モーフウェア)との覚書(MOU)締結を発表した。不正マイニング業者から押収した約3万台のマイニング専用機器(ASIC)を活用し、同国初となる政府主導のビットコインマイニング事業を立ち上げる。ANDE総裁フェリックス・ソサ氏はパラグアイ最大手紙ABC Colorの取材に対し、計画について「取り組んでいる」と直接回答、推進中であることを確認した。
協定の内容によると、ANDEが機器の所有権と運営管理を保持し、モーフウェアはBTC
BTCマイニングの技術指導・助言役を担う。同社創業者兼CEOのケンソ・トラービン氏はAtlas21の取材に「ANDEはマイニングの経験がない。我々の役割はあくまで助言だ」と述べた。モーフウェアはすでに変電所に隣接するANDE管理施設を、壁の撤去・換気設備の設置・トランスや計量機器の追加によってマイニング施設へ転用する計画を立案している。
パイロット段階では押収済みのASIC約1,500台を試験稼働させる。稼働に問題がなければ、先物市場から調達した資金で新規マイナーを購入し、押収機器に頼らない独自の拡張モデルへ移行することも視野に入れている。
採掘したビットコインの扱いについては政府内で議論が続いており、社会保障・教育・インフラ財源に充てるため即時売却を主張する意見と、一部を保有または金融市場でリスク管理すべきとの意見が対立している。モーフウェアは保守的なアプローチとして、米国取引所でのBTC先物の売却による収益ヘッジを推奨している。ABC Colorも同様に「先物市場での事前売却で価格変動リスクを排除する戦略」と報じており、実質的には「電力の別の形での販売」として位置づけると解説している。
同社はまた、政府機関への直接BTCカストディは推奨しないと明言した。その理由として、近年パラグアイで複数の省庁システムがランサムウェアに侵害された実績を挙げている。
パラグアイは世界有数の水力発電ダム・イタイプーが生み出す豊富な低コスト電力を有し、ハッシュレート・インデックスによると世界のBTCマイニングのハッシュレートの約4%を占める。米国・ロシア・中国に次ぐ規模だ。
この安価な電力を目当てに違法マイニング業者が急増。補助金付き電力料金の不正利用や無許可接続が横行し、ANDEが大規模摘発を実施した結果、政府の倉庫には使途のないASIC機器が山積みになっていた。
トラービン氏はAtlas21に「計算してみると非常に明快だ。現在は電力を安値で外国に売っているが、国内で使えばその何倍もの収益になる」と語り、「これがエネルギーグリッドの未来だ。電力を配るだけでなく、デジタルインフラに直接関与するグリッドになる」と締めくくった。
関連:


