1兆7500億ドルのIPOが、今夏注目すべき宇宙関連株の基準を塗り替えようとしている。SpaceXは史上最大規模のIPOに近づいている。公開版S-1は5月下旬に提出予定で、上場は6月下旬から7月上旬に予定されている。
SpaceXが実際の打ち上げコストやスターリンク事業の経済性を公開すれば、業界全体が同じ物差しで再評価される。特に注目すべきは、最も分かりやすい3銘柄。
ロケットラボ・コーポレーション(RKLB)は、SpaceXに最も近い上場企業で、打ち上げロケットや宇宙船、関連部品を自社で製造している。ここでSpaceXのIPOが重要となる。
S-1は上場前に必要なSEC提出書類である。SpaceXは4月1日に非公開で提出しており、公開版は5月下旬に公開予定。
この書類が公開されれば、SpaceXの打ち上げ収益、コスト、スターリンクの利益率などが初めて明らかになる。RKLBは、類似事業を展開する唯一の上場企業である。投資家がSpaceXの実態を確認すれば、RKLBも同基準で再評価される。
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ファンダメンタルズは堅調。1-3月期の売上高は2億300万ドル(前年比63.5%増)、受注残は22億ドル、流動性は20億ドル超。
しかし株価は7.17%下落し78.58ドルで終了。前年比240%高の利益確定売りが、4-6月期のガイダンス上振れ効果を上回った。
RKLBは11月下旬以来続く上昇チャネル内に位置する。直近高値は94.40ドル(0.618フィボナッチ)で反落。現在は20日指数移動平均(EMA)78.96ドルに沿った値動きとなっている。
EMAは直近価格を最重視する。50日EMAは75.52ドル。
直近で20日EMAを明確に割り込んだのは3月26日で、この時は19.31%の下落となった。再度割り込めば70.71ドル、62.45ドル(200日EMA)、56.08ドル(チャネル下限)が視野に入る。
オプション市場は逆方向。出来高プット・コール比率は0.53で、直前の-0.07時点(0.73)より低下。建玉比率は0.77で安定。IPO期を控え、ミスにもかかわらずコール買いが続く。
87.08ドル回復で94.40ドル、さらに104.81ドル超のブレイクゾーンが見えてくる。
注目すべき宇宙株の中でも、RKLBはSpaceX上場直前期に最も分かりやすい動きとなっている。
ASTスペースモバイル(ASTS)は、標準的なスマートフォンと直接接続可能な唯一の米国衛星ネットワークを構築している。パートナーにはAT&T、ベライゾン、FirstNetが名を連ねる。
この事業モデルは、SpaceXで未だ評価困難な領域、すなわち「スターリンクのセルラー直結」に該当する。SpaceXのS-1でスターリンクの契約者数や1人当たり収益が公開されれば、ASTSの初めての評価基準になる。
ASTSの直接通信衛星「BlueBird 7」は4月20日に軌道投入に失敗した。このため年末までに計画していた衛星45基達成が危ぶまれている。ASTSは、BlueBird 8~10基のFalcon 9による6月中旬打ち上げを発表。SpaceXのロードショー週と重なる見通し。
ASTS株は5月7日に65.35ドルで引け、7.54%安。決算発表は週明け月曜引け後を予定。
ASTS株は2月2日の129.78ドル高値から51.27%下落。現在のサポートは63.25ドル。200日EMAは73.53ドル、20日EMAは76.20ドル、50日・100日EMAは82.40~82.50ドルで密集。
2つの下落シグナルが迫る。50日EMAは100日に、20日EMAは200日に接近。63.25ドル割れで58.40ドル、さらに45.95ドルが下値目処。
オプションは逆の動きを示している。プット・コール比率は4月初旬の0.62から0.45に低下し、建玉も0.49から0.42に減少した。決算発表を月曜日に控え、インプライドボラティリティは112.55%。トレーダーはポジティブサプライズを織り込んでいる。
トレンドを転換するには、ASTSは68.17ドル、81.90ドル、82.40ドルを回復する必要がある。104.12ドルを上抜けすれば弱気感は否定される。注目すべき宇宙銘柄の中で、ASTSはSpaceX上場を前にリスクの高い選択肢といえる。
インテュイティブ・マシンズ(LUNR)は月面着陸船を開発し、NASAのニアスペースネットワークを運用している。SpaceXと共にアルテミス計画にも参画する。
SpaceXのIPOをめぐる視点は収益性だ。LUNRは、2026年に調整後EBITDAの黒字化を見込む唯一の上場ピュアプレイ銘柄である。SpaceXがS-1でスターリンクの利益構造を明かした際、市場は次なる同様の収益モデルを持つ銘柄を探す動きとなる。
LUNRは5月7日終値で24.11ドルとなり、8.43%下落した。2026年の売上高は9億ドルから10億ドルを計画し、2025年度比で約5倍。調整後EBITDAも黒字となる見通しだ。第1四半期決算は5月14日に発表される。
LUNRは11月中旬以降、上昇チャネルを維持している。4月22日のブレイクアウトは失敗し、以降調整が続く。直近の下げで、5月7日に20日EMAの24.92ドルを下回った。
重要な下値支持線は22.71ドルで、50日EMAの22.61ドルが直下に位置する。この水準を割り込むとさらなる下落リスクが高まる。初の上値抵抗は32.21ドル(0.618フィボナッチ)となる。明確に突破すればチャネルブレイクアウトの動きへつながる。
チャイキン・マネー・フロー(CMF)は機関投資家の資金流入出を示す指標である。CMFは-0.01とゼロライン下に位置する。4月1日は先例となる日だ。CMFがゼロを上抜けし、同時に20日EMAを回復したことで、LUNRは数日間で71.15%上昇した。
5月14日の決算発表が再びトリガーとなる見込み。CMFのゼロ超えと20日EMAの回復が重なれば、4月1日と同様にSpaceX上場に向けた動きが再現される可能性がある。注目すべき宇宙銘柄の中で、LUNRは最も収益ストーリーが明確な銘柄といえる。

