スペースX株に警戒論が浮上、ナスダックでの記録的な上場直後。投資家は、3兆ドルの時価総額目前のこの銘柄を、2010年のテスラ上場時の乱高下と比較する動き。
この動きにより、市場関係者の見方は分かれている。売り圧力が強まれば急落もあり得るとみる声がある一方、公開株数の少なさが数か月間にわたる高値維持につながるとの見方もある。
スペースXは6月12日に1株135ドルで新規株式公開(IPO)を実施し、約750億ドルを調達した。2019年のサウジアラムコの256億ドルを上回り、過去最大規模のIPOとなった。上場直後、同社は米国で最も価値のある企業のひとつに名を連ねた。
SPCXの株価はその後、公開時の水準を大きく上回り、本稿執筆時点で56%高となる213.95ドル付近で推移している。
予想市場カリシによると、スペースXは時間外取引で3兆ドルの時価総額に到達した。2025年の売上高は187億ドルと見積もられている。
この時価総額倍率は、上場直後の2兆ドル水準をはるかに上回っており、テスラの上場時をも凌駕する規模。
アナリストのテッド・ピローズ氏は、SPCXをテスラ初期と同じ値動きと捉え、弱気論をまとめている。イーロン・マスク氏が2010年のテスラ上場時と同様の手法を繰り返しているとする投稿も広く共有された。
現実には単純な比較では語れない。テスラは初日の終値が公開価格17ドルを40.5%上回った。その数か月後には2倍近くまで急騰したが、数週間で約4分の1値を下げた。
株価は2011年末時点で昨年比7.3%高にとどまり、その後に3百倍の上昇を遂げる前に70%の暴落は記録していない。
投資家のジョ・バクディ氏は、公開株式の希少性、指数連動型の強制買い、そして2026年の売上高の約90倍という高いバリュエーションを理由に、8月から下落圧力が強まると予想する。
CNBCのジム・クレイマー氏も懸念を示し、同社は好むものの、売り手不在のミーム株のような急騰を見たくないと語った。
一方で、暴落を見込むこと自体が、需給を見誤っているとの指摘もある。投資顧問のティエリー・ボルジェ氏は、株式の希少性が割高を招くだけでなく、価格を実質的に支えていると主張する。
買い需要は旺盛だ。ブルームバーグのエリック・バルチュナス氏によれば、SPCXを組み入れるETFの数は4本から数日のうちに120本程度に急増した。
インサイダーがロックアップ中で個人投資家も売りを見送るなか、買い手が売り手を上回る状況は、かつてテスラ株が高バリュエーションで懐疑論を集めた時期と類似する。
真価が問われるのは8月。初期ロックアップ解除で新たな売り圧力が市場に加わる可能性。
それまでスペースX株は、ファンダメンタルズではなく希少性とセンチメントを背景に推移するとみられる。イーロン・マスク氏の純資産の急増も引き続き市場の注目を集める。


