USDT発行元でステーブルコイン最大手のテザーは10日、傘下の独立投資部門テザー・インベストメンツを通じて、相互運用性プロトコル「レイヤーゼロ」の開発を手掛ける「レイヤーゼロ・ラボ」への戦略的投資を発表した。
暗号資産の世界では、異なるブロックチェーン同士の互換性が低いことが課題となっている。レイヤーゼロ
ZROは、この壁を取り払い、資産をチェーン間で安全に移動させる「ブリッジングフレームワーク」を提供する企業であり、すでに市場で広く採用されている技術を持つ。
テザー社が今回の投資を決めた大きな理由は、レイヤーゼロの技術を活用したオムニチェーン版USDT「USDt0」の実績だ。USDt0は、過去1年未満で700億ドル(約10兆円超)以上のクロスチェーン価値移転を処理し、大規模な市場環境下でも問題なく機能することを証明した。
この実績により、レイヤーゼロの技術が、流動性の分断を起こさずに資産を移動できることが実証された。テザー社は、同社の技術力とエンジニアリング能力を高く評価し、インフラとしての信頼性を確認した形だ。
さらにテザー社は、このインフラと自社の「ウォレット開発キット(WDK)」を組み合わせ、AIが主体となる金融システムを見据えている。具体的には、AI自身がウォレットを保有し、人間の許可を待たずに、自動で支払いや送金処理を行う「エージェンティック・ファイナンス」の実現だ。
テザー社のパオロ・アルドイノCEOは、「レイヤーゼロはあらゆる層で資産転送を可能にする技術を構築した」と評価。同氏は、将来的に無限に広がるAI主導の経済圏が、前例のない規模のマイクロペイメント(少額決済)を必要とすると予測しており、その基盤として今回の技術が不可欠になると述べている。
テザー社によるブリッジ技術への直接投資は、マルチチェーン環境でのUSDT
USDT支配力強化を示唆する。特にAIエージェント経済を見据えたインフラ整備への言及は、決済の自動化と小口化が業界の次なるトレンドになる可能性を示しており、今後の動向に注目が集まる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.5円)


