NVIDIA株が6月1日に保ち合いを上抜け、同日6.26%上昇した。ゴールドマン・サックスが目標株価285ドルを再確認したことを受け、この動きがどこまで続くか再び注目されている。
この上抜けは強気なシナリオの展開であり、GTC台北基調講演後のアナリストの楽観論が後押しとなっている。ただし、一部の資金フロー指標は逆の警鐘を鳴らしており、NVIDIA関係者の間でも今月残りの展開について見方が分かれている。
NVIDIA(NVDA)が6月1日に6.26%上昇し、224ドル超で取引を終えた。数週間続いた下落チャネルを上抜けた格好だ。出来高は2億1300万株付近となり、4月下旬と同水準を記録した。
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この上昇はブルフラッグの「ポール」に該当する。これは急騰の後に傾いた保ち合いを経てさらに上値を試すパターンを指す。NVIDIAは164ドルの安値から236ドルの高値まで44%上昇し、その後はチャネル内で下落基調をたどった。そして6月1日に上抜けた。
このタイミングは偶然ではない。同日、ゴールドマン・サックスがNVIDIAのGTC台北基調講演を受け、買い推奨と目標株価285ドルを再確認した。
アナリストのジェームズ・シュナイダー氏は、マイクロソフトとのAI PC分野への拡大、NVIDIAのデータセンター分野の優位性、エージェントAIの利用拡大を指摘した。さらに次世代AIチップシステム「ヴェラ・ルービン」プラットフォームも計画どおりだと述べた。
NVIDIAはAIコンピュータ「RTX Spark」も発表した。AIエージェントをローカルで稼働させる卓上タイプの製品である。これは、5月のサスケハナによる275ドル目標に続く、2か月以内で2度目の強気材料。
チャート自体は明快だが、一部の資金フロー指標は慎重な見方を示している。
すべての指標がこの動きを支持しているわけではない。チャイキン・マネー・フロー(CMF)は、機関投資家が株式に資金を投じているかどうかを測定する指標だ。
NVIDIAのCMFは、ここ数か月前向きな水準を維持できていない。AI関連他銘柄への資金移動が主因とみられる。5月上旬に0.58付近まで上昇したが、6月1日にはゼロ付近まで低下した。
4月末から6月初旬にかけて株価は上昇したが、CMFは下降傾向となった。強い買いを伴わない上昇のサインといえる。
これは弱気なダイバージェンスである。上抜けのローソク足には出来高が伴ったが、CMFは同調して大きく動かなかった。当日は買いが入ったが、機関投資家による継続的な買いの裏付けは今のところ見えていない。
一方で、これを変える要素も存在する。機関投資家がまとまった買いに動き、CMFが再びゼロ超を回復すれば、上抜けの現実味を増すことになる。現時点では資金の流れが納得していないため、次に見るべきはポジションデータである。
オプション市場は判断材料を追加する。NVIDIAのプット/コールレシオは、弱気なプットと強気なコールの比率を示す。低水準はコール優勢=上昇バイアスを意味する。出来高ベースでのレシオは0.39とコール偏重で強気である。新規のオプションも上値志向が強い。
未決済建玉ベースでは0.81とバランスに近い。この差は重要であり、日々の流入は強気ながら、蓄積された持ち高のレバレッジに偏りはない。
開示済み建玉が均衡していることは健全とされる。エヌビディアの株価が調整しても、ロングのポジションが密集していないため、急激な下落圧力は小さい。
全体として、過度なレバレッジを伴わない強気な賭けといえる。上放れには資金流入の確認が欠かせない。
このため、月内の展開は株価チャートが主役となる。
エヌビディアのシナリオは2通りに分かれる。それぞれ明確なトリガーがある。
強気シナリオは、日足で225ドル超えの終値が出発点となる。これで上放れが確定し、次はフィボナッチの目標水準である244ドル、253ドル、265ドルが視界に入る。
次の主要目標は280ドルとなる。これはゴールドマンの285ドル予想に近い。さらに44%の上伸幅を繰り返せば310ドルも見込める。需給の変化がトリガーとなる。
今月、RTXスパークAI-PCの拡大やベラ・ルービンの展開が機関投資家の購入を呼び込めば、資金フローが好転する可能性もある。DAデービッドソンの300ドル目標も後押しとなる。
弱気シナリオは逆方向だ。208ドルを割り込むと形が弱まり、194ドルを下回る終値で完全な転換となる。材料面でのトリガーは慎重姿勢。
ドイツ銀行は「ホールド」の格付けと255ドルの目標を維持。ゴールドマン自身も以前からマージンリスクを警告している。原材料費上昇が背景にある。これらも弱気材料となりうる。
買い手の姿勢が鈍く、資金が他のAI銘柄に流れ続ければ、上放れは再びレンジ内に収束し、上昇は鈍化する可能性もある。
1つのポイントは両ケースに共通する。現時点で資金流入の裏付けがなく、強気継続には潮目の転換が、弱気継続には買いが途絶する状況が必要となる。
NVIDIA株にとって、この2本線が6月の展開を左右する。225ドル超えの終値なら280ドルやゴールドマンが掲げる目標に向けて上値継続。一方で194ドルを割り込むと弱気派に主導権が移る。


