バイナンスは月曜日に、非米国居住者向けに8000銘柄を超える米国株とETF(上場投資信託)へのアクセスを開始した。世界最大の暗号資産取引所は、今回のサービス開始を多資産金融スーパーアプリへの一歩と位置付けている。
この動きにより、バイナンスは、暗号資産と従来型株式市場の融合を進めるライバル他社と肩を並べる格好となった。顧客は最低5ドルから、ステーブルコインや同社独自トークンを用いて、手数料ゼロで小口株式を購入できる。
このサービス開始は、暗号資産プラットフォームと伝統的金融の融合が広がる現状を反映している。これまでトークンに特化してきた取引所が、株式ビジネスにも参入しはじめている。
共同CEOリチャード・テン氏は、米国株が世界株式の過半数を占めているとしながらも、多くの海外投資家が高いコストや煩雑な手続きに直面しているとFortuneに語った。
この流れはバイナンスだけではない。これまでにOKXがトークン化株式で伝統金融市場への参入を進め、コインベースも取引所サービスの一環として株式取引を追加している。
ウォール街側も暗号資産業界への歩み寄りを強めている。資産運用大手ブラックロックは、米国債をブロックチェーンでラッピングし、両市場の境界線を曖昧にしている。
バイナンスでの株式購入は、ブローカーディーラーのNest Tradingが手配する。ニューヨークに拠点を置くAlpaca社がカストディ業務、配当金支払いおよび企業行動を担当する。
顧客はステーブルコインUSDCまたはUSDTを使って支払うことができる。バイナンス独自トークンBNBなど、その他一部のトークンにも対応する。
この取り組みは、バイナンスにとって暗号資産以外への初参入ではない。すでに、金や石油化学製品に連動したデリバティブや、上場前株式の取引なども提供している。
ただし、同社の実績にはばらつきがある。2021年には、商品が未登録証券かどうか当局に疑問視されたことで、株式トークンを停止した経緯がある。
バイナンスは今後、顧客が購入した株式をトークン化可能なbStocks構想も明らかにした。数週間以内に、株式をBNBチェーン上でデジタルトークン化できるようにする計画だ。
この設計の特徴は、ユーザー自身がトークン化を開始できる点にある。ライバルのクラーケンやロビンフッドも類似商品を出しており、クラーケンは海外向けに米国のテック株をトークン化している。
支持者はスピードを強調する。ブロックチェーン基盤の取引は、ウォール街の仲介業者が必要とする日数と比べ、ほぼ即時に決済が可能という。
バイナンスはこの新サービスの狙いについて、声明で次のように述べた。
すべての関係者が賛同しているわけではない。ニューヨーク証券取引所やナスダックがトークン化計画を発表するなか、トークン化株式は米国株式市場に新たなリスクをもたらすとの指摘もある。
セルフトークナイゼーションが実際に株式のオンチェーン化を促進するかどうかは、今後数週間以内にbStocksが本格稼働することで明らかとなる見通し。


